フルーツいろいろ話4
「それでは、お言葉に甘えて……」。
皿の上で果実を手で持ち、ナイフを使って皮をむく。
緊張しすぎてもいけないし、油断してもいけない。
モモの実はくすぐったがって皿から飛び出してしまうから。
そんなことなら、ペンタキープでいかにおいしいモモを作るか考える方がいい。
さあ、ここからもまた要領がいいのと悪いのと差がつく。
丸いままかぶりついてはいけないことになっているのだから、切らなければならぬ。
手でつかんだり押えたりしてはいけないそうだから、すべすべした皿の上で果実を固定するのはフォークだけしかない。
本人は気がつかないが真剣な顔がおかしい。
フォークで果実が逃げないように押さえて、果肉を四つ切りぐらいに切りとる。
切りとったかたまりが大きかったらさらに小さくして、これでやっと口に入れることが許される。
ひときれずつは事めんどうなりと、切るだけ切ったらあとはフォークで突き刺して、というのは無作法なやり方だそうだ。
だから、ぼくは人前でモモを食べるのはいやなのだ。